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12月29日(月)
あっという間に師走も後半。今年も残すところあと3日だ。元旦から始まる個展用の作品を作り、連続して窯を焚いた。夏はあれほど疎ましかった鉄の塊も、この季節は愛おしいほど。どんなストーブだってここまで自然に工房を暖めることは出来ない。1250℃まで上がった窯は、36時間経った今も200℃以上ある。素手で作品に触れるのは明日の朝になってから。数ある製作工程の中でいちばん楽しみで、いちばん不安な窯出し。窯の中の作品が全部失敗してガッカリする夢はもう見飽きるほど見た。さあ明日はどうなることやら。
工房が暖かいので、今日は出番がないストーブの分解掃除をした。ほとんど未使用の状態で知人に譲ってもらったこのスウェーデン製の灯油ストーブと17回の冬を過ごした。音も臭いもなく、静かな青い炎で燃え続ける2筒式の四角い箱は私の宝物だ。他の人が触らなければ、あと何十年も現役でいてくれるだろう。良い道具は魂を宿す。愛情を持って接すれば、ちゃんとそれに応えてくれる。39年前に作られた愛用のオートバイも、エジプトに行っている間に預けた知人の家でまったく動かなくなったという。はやく息を吹き返させに行かないと・・・。
私の作る器も、そんな道具であって欲しい。丁寧に育てれば何百年だって現役でいられる作品。それに応えられるよう丁寧に作っている。見えないところにまで愛情を注いでいる。
来年も、使う人と一緒に本物の器を生み育てていきたいです。ご協力下さい。
12月10日(水)
95%以上、ほぼ決定の話が立て続けに流れてしまった。新年から通訳として同行するはずだった中東DJツアーが急遽、中止になったのだ。奇しくも自衛隊のイラク派遣が決定した日である。アラブの国々で日本人がDJをする・・・今となってはテロの標的にされてもおかしくない話。ツアー中止はアッラーのご加護かもしれない。ハムドリッラー。
とはいえ、アラビア語を使って街を歩く事をリアルに想像していたから少しガッカリ。そして、この1年間あまり感じなかったエジプトへの郷愁が急に襲ってきた。ほこりっぽい町並み、野菜を山積みしたロバ車、シーシャの匂い。
そこへ友人ケイからのメール。コシャリの作り方を教えてくれと言う。大好物、そして卓袱堂を象徴する料理なのに、今まで作ろうとしたことがなかった。あれは店で(もしくはアフワで)食べるものと決めつけていたから。口の中がコシャリの記憶で一杯になったオレはすぐにレシピを返信。約1時間後『うんまい』の言葉と共に写メールが届く。タッアレイヤ(フライドオニオンチップ)やダッア(特製酢)まで使う懲りようである。ピンボケの出来損ない(失礼!)写真を見ていたら嬉しくて、胸がいっぱいで、涙が出てきた。どんなことがあっても、アラブの人たちと殺し合いをしちゃいけない。
12月07日(日)
江ノ島の近く、鵠沼海岸に一軒家を借りる計画が白紙に戻ってしまった。掃除をして、修繕に取りかかっていた矢先だったので残念だが・・・仕方がない。再び、賃貸情報や不動産の見取図を気にして歩く生活が始まった。これはまた楽しい時間である。
収入は安定していないし、夢のまた夢とは知りつつも中古物件や売地情報も何となく気になる。あれやこれや想像するのはタダだし。と、今日の新聞折り込みに目を疑うような物件が掲載されていた。鎌倉市大町4丁目。駅から徒歩17分の静かなな住宅地。20坪の角地に3部屋、縁側も付いた2階建ての古家。価格は・・・650万円!
いくらなんでも安すぎる。が、さっそく不動産屋に電話して資料を送ってもらう。その地図を持って現地までスクーターを飛ばした。おぉ、ボロイ!が風情のある町並みに堂々と佇むその家はただならぬ存在感。これは・・・安い。
ノブに手をかけると、ドアはすんなりと開いた。前の持ち主の物であろう布団だとかポットだとかジイサンの写真だとかがそのまま残されていた。頭の中が凄いスピードで動き出し、リフォームやレイアウトの手順をはじきだす。これは・・・イケル!
写真をパチパチ撮って外からぼんやり眺めていると、不動産屋のスタッフが見学者と一緒にやって来た。そりゃそうだ、誰だって気になる値段だ。しかも期待を裏切らない個性的な家である。高台から見下ろす町並み。赤く色づいた山々。家を見に来た夫婦とさりげなく火花を交えてから家路についた。
安いといったって、無いもんは無いんだから買えないよなぁ・・・。オレがモジモジしているうちに売れちゃうんだろうなぁ・・・。だけど、家賃6万円のアパートに10年住んだらそれだけで720万円だし・・・。悩ましい日曜日。
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