02月25日(水)
『陶芸家になるにはどうすればいいんでしょう?』とか『弟子はとっていますか?』なんていうメールが時々、知らない人から届く。自分が陶芸家とは思っていないし(陶工とはニュアンスが違う)、成功しているヒトでもないからコメントは難しいのだが、出来る範囲で答えるようにしている。20年近くやってるのに未だに超貧乏生活。楽な仕事ではないのは確かな事実だろうなぁ。
道具作りのため金工や木工など技術は欠かせないし、根気も体力も必要。粘土に触れない時間も多いし、山に籠もって仙人みたいな暮らしが出来るわけもない。営業能力やファッションセンス(?)までも、陶工に求められる資質と言っても過言ではない。大変な仕事だよ・・・。
4月に結婚するマコトの引出物が焼き上がったので、今日は箱書きと梱包をした。左利きの私、筆で字を書くのが苦手だ。書き順というのは右利き向けのルールなので、左利きには苦痛このうえない。特に筆は難しい。これは経験者のみ知る事実。だから木箱を時計回りに60℃ほど傾けて文字を書いていく。なかなか不思議か光景。箱に押す印も、自分で石を彫って作る。陶工は何でも屋さんみたいでしょ?
行ってきます!と言いながら、やらなければならないことだらけ。明後日出発なのに大丈夫かな?あー、こんなこと書いている場合じゃないのに・・・。


02月21日(土)
6日後にイギリスへ行く。
私はかなりの出不精だし、エアーズロックとかパルテノン神殿とかルーブル美術館とかにもあまり興味がないから、用事がないと海外へは行かなかった。ヴォランティア・仕事・帰省・研修・引越・社員旅行・家族旅行。これで全てである。海外生活は6年以上。旅慣れているフリして、自力で海外旅行をしたことがなかった。自分の事ながら新鮮な驚きである。
インターネットで値段を調べ、横浜の旅行代理店へチケットを買いに行く。初めての事でドキドキだが、ここはハッタリ今泉、ガバッと足を組んで手帳を取り出し、旅慣れた風を演出。8万円台のロンドン往復チケットを何種類か提示されたがノンノンノン!もっとあるんじゃない?特別なやつが?
『実は・・・』と言って持ってきたのが『みなとみらい線開通記念限定チケット』。何やらチラシを持参した人に先着で譲るという激安チケットらしい。来たぞ来たぞ・・・。ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の直行往復券、細かい時間指定も可。でなんと・・・4万5000円!これは安い!!!チケット事前渡しも無理矢理に約束させて、既に私の手元にある。もう旅行会社が倒産しても大丈夫。ゴネ王いまだ健在!
今回だって用事がないわけじゃない。ほぼ1ヶ月の滞在には大切な理由がある。上手く説明できないけど、ココロの旅なのだ。とにかく行ってきます!


02月13日(金)
ブラジル歴5年でダンスフリークのアゴウさんを誘って映画『モロ・ノ・ブラジル』を観に行く予定だったが、上映時間が合わず断念することに。せっかくだし食事でも、ということで渋谷の街を歩く。入ったのはエジプト料理『エル・サラーヤ』。現地にいた頃はフツウに食べていたエジ料理、強烈に美味しいという事はないし、素材の味で作る料理が多いから日本じゃ再現しづらいものばかり。そして価格はべらぼうに安かったから、日本で高いお金を出す気にもなれず・・・どうしても食べたいと思ってるのはコシャリぐらいなものか?
階段を下りて地下のドアを開ける。客は誰もいないが、アラブ音楽が流れてイイ感じ。注文を取りに来た男はエジプト人、つい話しかけてしまう。帰国してからアラビア語を使うのはまだ4回目、もちろん料理の注文なんて久しぶりである。『アィーシュとタヒーナ、ババガンヌー。ターメイヤとショルバモロヘイヤもね』アラビア語はなめらかに動き出す。そしてメニューにないコシャリを注文してみる。厨房と相談した後、返事はOK!こりゃ楽しみだ!
コシャリにはタッアレイヤ(フライドオニオン)やシャッタ(チリソース)、ダッア(ニンニク酢)も付いてきて期待が膨らむ。そしてパクリ・・・・おおぉ、うんまい!!!向かいで食べるアゴウさんの評価も上々。『もう一皿いっちゃいましょう!」とか無茶を言う始末。コシャリは食べ過ぎると(なぜか)疲れるのに。他の料理も期待以上にローカルな味で大満足。さらに月1回のベリーダンスショウにも偶然重なり、すっかり気分はマスリー。無理を承知で頼んだシーシャも登場、1年半振りの煙を深く吸う。楽しくも切ない夜はあっという間に過ぎて、今夜も終電に間に合わず。ふぅ。


02月07日(土)
ピース・トーク・マラソンin神奈川が終了した。
壇上から見る限り、8割方埋まっていた会場。平和と国際協力・・・文字にするとなんとも胡散臭いが、人々の関心は意外と高いのかな、と思って少し安心する。Jリーガーの北澤豪氏、歌人の田中章義氏などの著名人が動員数を増やしたのは間違いのないけど、これだけの人数が集中して耳を傾けている事に小さな感動を覚えた。多くの人が有意義な時間と問題意識を抱えて家路についた事と思う。
パネルディスカッションは1人当たりの責任が軽いせいか、非常にリラックスして臨むことが出来た。が、漠然としたテーマと打ち合わせ不足のせいで、なかなか踏み込んだ話が出来なかったのは残念。自分でもなんだかトンチンカンな答えをしていたような・・・ビデオチェックが少し怖い。
でも、国際協力って何だろう?1人ひとりにできることって?
協力隊を含めた途上国での活動、もちろん意味はあると思う。でもやっぱり自己満足とスタンドプレイの印象は拭えない。親善大使、NGO・・・クリアな気持ちで見られないのは私自身の問題なのだろうか。
一人ひとりが理想と信念を持ち政治家を選ぶ。選ばれた人は、国民の代表としてのプレッシャーと正義感、バランス力を持って国を作っていく。そんな肝心な事すら出来ていない今の日本で、本当の国際協力を語るのは難しい。日本という国に不信感がある限り、何をやっても不信感がついてまわるから。矛盾する事だけど、今日会場に来てくれなかった人達に来てもらいたかったなぁ。


02月05日(木)
風の強い午後、自転車で図書館へ向かった。
御成町にある鎌倉中央図書館、蔵書は約16万冊と少なめだが、木立の緩やかなカーブを曲がった突き当たりにあるロケーションがいい。今日は本の返却、調べものが少し、時間があれば短い小説を読んで、映画館みたいに濃密な時間を過ごすのが目的。図書館が好きだ。
限られた時間は1時間半。最近BBSに登場した『ハチ公最後の恋人』を読んだ。最近なぜか吉本ばなな、である。すがるような気持ちで女心を汲み取ろうと必死だ。まだ時間があったので、乳ガンの手術をした25歳女性が主人公の小説(作者忘れた)『プラナリア』を読んだ。小説の中でプラナリアという生き物を知っている人はわずか数人だけ。ほとんどの人間は知らないと言う設定だ。そりゃちがうよ。好奇心旺盛なオレの兄弟や友人達、みんなプラナリアを知っている。もちろん本物だって見たことあるし、実際、ナイフで切ったことだってある。増えすぎたプラナリアに世界中埋め尽くされる悪夢だって見た。
プラナリア:渦虫網プラナリア科の扁形動物。淡水に住む2〜3Bのヒルみたいな生き物なんだけど、ちゃんと黒い目が2つと口がある。ところがこの生き物、切り刻んでも死なない。それどころかバラバラになったピースがそれぞれ形を成していき、最後には全部、目と口を持った1匹の生命体になる。4つに切れば4匹のプラナリアになる。考えると夜も眠れないくらい不思議な生き物。しかも寄り目でカワイイ。
手術で切り取られた自分の乳房がプラナリヤのように再生できたら・・次に生まれ変わるならプラナリヤになりたい・・・。この中編小説のタイトルの由来はこんな所だろうけど、再生がプラナリヤの売りじゃない。別の命が生まれるから凄いのだ。ナイフを縦に2ヶ所、胴の半分ぐらいまで入れてみる(切り離さない)。驚くことに3頭の、キングギドラみたいな生き物になる。この時、胴体は誰の意識下にあるのか?どんな気持ちでそれぞれの顔を見るのか・・・。プラナリアという生き物の持つ可能性、恐怖、滑稽さ、そしてロマン。作者は、凄く期待して本を手に取った人間の気持ちがわかっていない。神秘の生き物プラナリアの名を軽々しくタイトルにする作者(名前忘れた)の無神経さに、ひどく失望している。
やれやれ、注文している『図書館の神様』はいつごろ入荷かなぁ・・・。


02月03日(火)
卓球の元世界ランカー、アツシが帰国した。任期延長+短期派遣で3年以上エジプトにいたことになる。元から日本の似合わない男だが、その傾向はさらに強まった印象。いつかエジプトに帰って商売を成功させ、みんなが集まれる場所を作って欲しいという勝手な願望。インシャアッラー。
アラブ式抱擁で再会を楽しむ。新宿での宴会はエジプト時間で進み、あっという間に終電はなくなりそのまま(なぜか)ボーリング場へ。球技はそれなりに(謙遜)なんでも上手な私だが、ボーリングだけは何年経っても上手にならない。いや、かなりヘタである。アツシのスコアは207、私は97。何かが根本的に間違っているような・・・。
ラーメンを食べてからカラオケボックスへ。歌舞伎町は何曜日でも、何時でも人が溢れている。不健全なところを除けばここは日本のカイロ。アツシのフェードインにうってつけの場所。私たちは時代遅れの曲を熱唱してから、ラッシュアワーの電車で家に向かった。