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03月22日(月)
セント・アイヴィスの朝は素晴らしい天気になったが、やはり風は強い。私たちだけしか客のいないB&Bで朝食を済ませ て岬まで散歩。絵に描いたような素晴らしい風景に目を奪われ、緑の丘をかけ登っていく。こんなところで仕事できたら楽しいだろうなぁ・・・。リーチ工房は街からすぐのところにあり、当時のままの登り窯や展示室に案内してもらう。胡散臭いと思っていた『民芸運動』が何となく身近に感じられるから不思議。自分らしい陶芸を目指す。やる事はそれだけだ。
セント・アイヴィスを出発して、イギリス最西端のランズエンドを回る。それにしてもイギリスの景色はスケールがデカイ。日本より国土が小さいなんて信じられない。ムーアと呼ばれる荒地にはトラウトを予感させる緩やかな川が流れ、ヒツジ達がのんびりと草を食べている。ロンドンも楽しかったけど、イギリスの田舎はウワサ通り・・・凄い!
国立公園を横切るルートを選んだのはいいが、あまりに広すぎて店もホテルもパブも・・・何もない!美しい夕焼けに見とれていたら、あっという間に夜の闇。月に照らされた、この幻想的な道を通る車は他に1台もなく、こんな所で野宿も悪くないなと諦め半分で運転していると、そこに1軒の宿が。空部屋アリ・値段もまぁまぁ・今から食事も出来る、ということで交渉成立。離れの風呂から上がってさぁビール!なはずが、なんだかおかしい。気になっていた喉の痛みがキツくなってきて、あまり食欲もない。体調の雲行きが怪しくなってきたぞ・・・。
03月21日(日)
旅のクライマックス、リーチ工房のあるセント・アイヴィスへ行ってきた。イギリス本土の西端、コーンウォール地方の果てにあるセント・アイヴィスは古い港町。陶芸家の濱田庄司とバーナード・リーチはここに日本式の登り窯を作り、作陶三昧の日々を送ったらしい。なぜ2人はセント・アイヴィスに決めたのか?陶芸という仕事の根底にある『生きるため/楽しむため』のバランスを知るヒントが隠されていそうで、いつかは訪ねたかった街。
ロンドンでレンタカーを借りる。水色のフォード・フィエスタ。もちろん5速ミッション。手動式のサンルーフまで付いていて、旅行気分は盛り上がる。ハイドパークを軽快に通り抜け(これをやりたかった!)、曇り空をひたすら西へ!めまぐるしく変化する天気は、女心どころの話じゃない!強い陽射し と集中豪雨の繰り返す中、助手席のナビゲーター、チクは眠り続けたまま。おいおい、オレだって知らない道なんだってば・・・。
ドライブインで遅い朝食を食べる。ビュッフェでスープをトレイに載せた寝起きのチクは、アクシデントで自分の服にドッペリこぼしてしまう。ありゃりゃ、旅行中にありがちな喧嘩のパターンだよ、これって・・・。険悪ムードを払拭してくれたのは、雄大な景色と“長く曲がりくねった道”。シフトチェンジを細かく繰り返し、オレは心の中でビートルズを歌う。
世界遺産のストーンヘンジを抜け、夕闇のセント・アイヴィスに到着。何軒も宿を探したが、なかなか気に入ったところが見つからない。港の小さな路地に迷い込んだ時、お膳立てのように忽然と現れた小さな古い宿。交渉成立。いつの間にか仲直りしたオレ達は、美味しいシーフードを目指し迷路のような夜の街へ繰り出した。
03月14日(日)
バーミンハム大学の教授、クリス・ウィリアムスの好意で彼の家に住まわせてもらっている。ロンドンの家には月に1、2回しか帰らないから勝手に使ってくれていいよ、と言われた。彼とは先月、映画『OSAMA(アフガン零年)』を観に行ったときに初めて会ったばかり。チクは大学で何回か講義を受けた事があると聞いていたが、その程度の知り合いに自分の家をポンと2週間も貸してしまう人間のスケールに驚く。『どうせ空き家だもん。お金はいらないよ!』あああ、クリス様!ありがた や〜
ロンドンの中心から地下鉄でわずか15分ほどの、このレンガ作りの家、日本人の奥様、ヒロミさんのセンスもあってシンプルで美しい!無駄な物を徹底的に排除した白い壁と、随所にちりばめられたアジアンテイスト。極めつけのベッドルームは畳に布団。感激〜!陽の射し込む機能的なキッチンで腕を振るう毎日。日本から持参した和食に歓声を上げるチク。さらば、狭くて寒い勉強部屋。さらば、シェアして食べた、色気のない寮のごはん・・・。だけど、あとて懐かしく思い出すのは間違いなくこっちなんだよね。ああ、愛おしきジョン・アダムスホール・・・
03月09日(火)
小学5年生の時、初めて買ったレコードをまだ手元に置いている。QUEENの『WE
ARE THE
CHAMPION』だ。以来、私はずっとQUEENのファンだ。中学時代も友人に薦めて回り、みんなでレコードを交換しながら夢中で聴いていた。当時は『オカマっぽい』とか『気持ち悪い』などと言われて日本で人気が高かったとは思えないが、ロックを越えた格調高い音楽は当時から変わらぬ魅力を放ち続けている。
せっかくのロンドン、何かミュージカルでも見るか、と思ってチラシを見ていると『WE
WILL ROCK
YOU』と言う文字が目に飛び込んできた。初めて買ったレコードのB面の曲と同じタイトルだ。なんと、QUEENの曲ばかりで構成されたミュージカルだという。知らない曲は多分ない。これは行かないと!
レスタースクェアで当日の安売りチケットを手に入れて劇場へ。しかしそこは異常なまでの混雑。時間になっても中に入れる気配がない。入口で拳を上げるフレディ・マーキュリーの像も暗いまま。なんと停電で本日の公演は中止とのこと。ふぅ、ここはエジプトかよ・・・。
もう一度チケットを取り直して3日後の今日、執念の入場。近未来、ロックを禁止された時代の高校生が地下組織の人たちと伝説のギターを探しに行き、失われた心を取り戻す・・・といったありふれた話だけど、迫力ある生演奏と出演者たちの歌唱力、懐かしい名曲の数々を大いに楽しんだ。QUEENのライブでもコーラスの生演奏は難しく、一部レコードを使ったという『BOHEMIAN
RHAPSODY』をアンコールで歌いきった彼らに喝采!
03月02日(火)
ロンドンに来て5日過ぎた。
有名な2階建てバスに1週間乗り放題の便利なチケットがあり、暇に任せて飛び乗ってみる。終点まで行って戻ってきたり、途中気になる場所があればそこで降りてみたり。バスを自在に使えれば、この街はなかなか動きやすい印象。子供の頃から写真で知っているタワーブリッジやビッグベンなどが突然表れると、なんだか得した気分。
京都の試験場時代、なぜかボードゲーム(すごろく)が流行った。いい大人が真剣に遊ぶに相応しい高度なゲームもあり、おもちゃの紙幣がとても貴重に見 えてくるからおもしろい。私が持っていた自慢のボードゲームは『スコットランド・ヤード』というもので、『モノポリー』と並び世界中で高い評価を受けている逸品。広げたボード上ので警察と犯人が追いかけっこをするのだけど、本当にスリリングでおもしろい。このボード、地下鉄やバス路線などが書かれたロンドンの地図で、その他タクシー、テムズ川の船などの交通機関を使ってゲームを進行させる。バッキンガム宮殿やハイドパークなどの名所も書き込まれているので、ゲームを繰り返すうちにロンドンの地図が頭に入ってきてしまう。初めて来たロンドンの街がすぐ理解できて、懐かしさすら感じるのは『スコットランド・ヤード』のおかげか?本物のスコットランド・ヤード(ロンドン市警)の世話にはなりたくないけどね。
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