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04月06日(日) 案内状に同封されていた、FIAT500特製キーホルダー引換券をスタッフに渡す。車体・新しいロゴ・FIAT社のマークと3個の金属プレートからなる豪華なキーホルダーを貰うため、わざわざ混んでいる週末に来たのは言うまでもない。 ところがだ。引換券を受け取った、イタリアンスーツを着た若いスタッフは顔をちょっと曇らせて言い放った。 『これなんですが…実は本国より30個しか届きませんで。クルマを購入した方にしかお渡ししていないんですわ。』 オレは深呼吸して、どう攻めるか2秒間考えた。たかが記念品という以前に、これは詐欺行為だ。来場記念と書いてある以上どんな理由があれ渡さなければならない。現物がないなら後日発送するとか、代替品を用意するとか。 なにか例を出してこのバカ社員を説得させるのは容易いし、ゴネてその30個のひとつを手に入れる事も可能だろう。そもそも、買う気がある人間に来場記念品を用意する必要はない。エサにつられて会場に来た(買う気のなかった)人間を、現物に触れさせて買わせてしまうために用意したモノではないのか?どう攻めても負ける気がしねぇ!完璧な理論でキーホルダーは戴き!……のはずだった。 …一緒に来ていたショートカットの女はクルマを眺めながら、それとなくこちらを観察している。 日常のさりげない事。たとえば居酒屋での店員に対する言葉遣いとか、映画館で狭い座席の前を人が通る時とか…女はいつでも男を観察している。人間としての本質を探っている。 《正しいことを言うときは 相手を傷つけやすいものだと 気づいているほうがいい》 詩人・吉野弘の言葉がオレの頭をよぎる。 正しさを武器に相手を叩きのめす場面を、女子に見られるのはマズい。 正義を通すのとは本質的に違う。この勝負、降りるが勝ちだ。 キーホルダー?天秤にかけるには、あまりにも軽い。 『そうですか…残念だな。』 2秒後に答えると、バカスタッフは引換券の裏にあるアンケートに答えて住所、氏名などを書いてくれ、と言う。プレゼントすら用意してないくせに! オレは冷たく見つめてあげた。 良いスーツを着たハンサムだが、男指数ではオレの足下にも及ばない。 男道はイバラ道。修行せよ! |