06月21日(月)
今日は大統領の再選挙。外での飲酒は禁止されていた。こんな日こそ、みんなで焚火でもやりながら酒盛りをしよう!…などという計画が持ち上がっていたので、オレも参加する事に。若者が体制に反発したい気持ちはよくわかるし、警察にさえバレなければ平気。夜中に広場に集合したあと、二手に別れて場所探しをすることに。雨がけっこう降っていたので、夜中に騒げる場所がみつからないらしいので。

無責任で約束を守らないコロンビア人のせいで、今日はちょっと疲れていた。宴会はいいから、もう帰って寝たい気分。…それに明日は月曜日だよ?市場のベンチに腰掛けて、オレにしては珍しく愚痴をこぼす。

『だいたい友達ってなんだよ?チャージがないからと言ってはオレの携帯電話を平気で使うし、金がないと言ってはビール代も出させたり。オレは友達じゃなくて、都合のイイ金づるみたいなもんだろ?お前らには良かったよな…ラキラに銀行ができた気分で。』

言われた方だって気分のいい話じゃないだろう。でも、オレだっていつもニコニコばかりはしていられない。この村に来てもうすぐ5ヶ月。ラキラの人がどんな人間かもわかってきたし…。

『タク、とにかく機嫌を直してよ…飲む場所がみつかったみたいだよ』

案内された場所はステファニーの家。家長であるおばあちゃんが寝るのを待って遅くなったらしい。寝ている姿がパティオ越しに見える。本当にここで飲むのか?声を殺して、忍び足で真っ暗な裏庭に向かう。屋根のある場所がうっすら見えるので、あそこで焚火でもやるのかな…?とぼんやり考えながら進むと、突然電気と花火の音が…!

『フェリス・クンプレアニョス!誕生日おめでとう、タク!』

夜中までダラダラと引っ張ったのはこのせいだったのか…不覚。日付が変わった瞬間にパーティーとは…夜中の雨の中で?バースディ当日のサプライズならある程度は予想できたかも?なのだが、全く考えていなかった事態に放心する。なんなんだよ、お前たち、明日は仕事だろ?なんだよ…こんなに沢山の人を巻き込んで。寝ていたおばあちゃんもグルかよ!ニコニコ登場するなよ。沢山の飾り付け、壁にはみんなからの寄せ書き…。ついさっき、コロンビア人の悪口を言ってたオレにこの仕打ちはないだろ?気持ちの切り替え上手にが出来ず、涙が溢れてくる。タクは金づるの日本人なんかじゃないよ、と言われているみたいで…村の人に大切にされていることが伝わってきて…遠慮なく号泣した。おしくらまんじゅうみたいに、あったかい沢山のハグの中で。



ラキラの伝統?に従って、大量の小麦粉と生卵攻撃を受ける。目に色々なものが入って、失明するかと思った…マジで痛すぎるし。過激なパーティは朝方まで続き…粉だらけのまま、家まで送ってもらった。雨と卵にまみれても、こんなに気持ちがいいのが不思議。片道4時間、わざわざ首都のボゴタから買ってきてくれたケーキ。HAPPI BRITDEY…ハッピブリットディ?こんなスペルミスすら愛おしい気分。

あたたかいメッセージ、プレゼントをくれたみんな、本当にありがとう。
こんなにバカでハッピーな44歳を、他に知りません。



06月18日(金)
祭りが終わり、ラキラに平和な日々が戻ってきた。風邪をひいてたのはオレだけではないらしく、あちこちから咳が聞こえる。みんな、今週はのんびり過ごしましょうね。

さてさて、こないだ知らない食堂を見つけてしまった。この狭い村で、今さら新しい店の発見なんてあるわけないだろう?と思うだろうが、本当にあったのだ。…というか、もうちょっと店らしくしろよな。商売する気なら。

教会の脇道の一番奥。その先は森へ続く道だから、普段は用事もない。近づいてみると、古ぼけた《RESTAURANTE》の黄色い縦看板が…見える?目の前に立っても小さなドアは閉まってるし、とても営業しているとは思えない。興味半分で入ってみる。ボロいが食堂だ。人より犬の方が多いけど…。

チキンとスープ、ライスがあるというので食べてみたら…あれ?美味いじゃん。特にチキン、まるでKFCじゃね?スパイシーでカラッとしてるし。発見だー。

今日はそのチキンをテイクアウトをしてみた。2個で100円。悪くない。帰宅して骨を取り、刻んだネギと一緒にフライパンへ。胡麻油とにんにくで炒め、だし醤油とみりんで仕上げてテリヤキ風に。炊きたて御飯に乗せて、海苔と七味をふりかけ焼鳥丼の完成!美味いです!

ラキラの友人たちに、この食堂の話をしても、なぜか反応が悪い。ほとんどの人が知らないという。そして興味もなさそうだ…なぜ?リサンドロが重い口を開けて言う。『場所がねぇ…』…ん?場所???

ここ、以前は死体安置所だったらしい。そんな場所でひっそりと営業している食堂。激ウマのフライドチキン…。そう言われると、なんだか生気がないよな?人間じゃないのかなー?怪物ランドの住人?ま、いっか。美味しいし。


06月15日(火)
今日は祭りの最終日。
大声を張り上げないと会話が出来ないほどの音量なので喉が痛い…。

4日間通しで野外フェスにに行って、そのあと朝までクラブで踊ってる感じ?帰宅したら、ちょうどワールドカップが始まる時間(第一試合は朝の6時半から)なのでテレビ鑑賞して昼過ぎから仮眠して、夕方にまた出かけてる。さすがに疲れた…

美女と密着して楽しく踊っている横で、野蛮な花火がガンガン打ち上げられる。真上に打ち上げる花火は、日本のみたいに高いところまで飛ばないので…かなり近いところで爆発し、人々の頭上に火の粉を落とす。おいおい、ビニール製のパラソルが溶けて穴があいてるじゃん…大丈夫?

火の粉というより、火の玉だよ…アレ背中に入ったら救急車だよ。人が密集している横で打ち上げているから、逃げ場もなくて危険きわまりない…平然とビールを飲んでられるのは、酔って意識がもうろうとしてるから?でも真上から落ちて来る花火ってきれいだ。ちょっと戦場みたいだけど…。


06月13日(日)
ラキラの祭り続行中。今日は楽しみにしていた騎馬行進『カバルガタ』の日だ。
500頭近い馬が参加するビッグイベントである。

『タクもカバルガタに参加するのか?けっこうキツいぞ…』

カンデラリアからラキラまでは約6km。そんなにキツいのか?山道だが、3時間ほどかけてのんびり歩くのだから、まぁたいした事ないだろう。これぐらいで音を上げるほど鈍っちゃいない…はずだったが。

相乗りのトラックに乗って現地入りする。普段は徒歩以外の交通手段がなかったので、今回初めて訪れたカンデラリア。 取り残された南米の田舎町のイメージそのものの、石畳の素敵な街。

出発前に、豪快な焚火で焼いたバーベキューを全員で頂く。この肉、なんと馬肉だそうな!かわいい馬と一緒に行進するお祭りなのに…この感覚は微妙だなぁ。あまりにもデカイ串焼き(鉄棒の長さは1m50cmぐらいはある…)だけど、味は最高!ビールもついてきて、さぁ酔っぱらいでスタート!

実はビールどころか…バッチリ二日酔いでの参加である。連日のお祭りで、アルコールが抜けるタイミングがないのだ…。夜、ただ広場を横切るだけで30人ぐらいに呼び止められ、小さなカップに入ったラム酒や地元の蒸留酒などを、クイッと飲まされる。断れる雰囲気じゃないし、掴んだ腕も離してくれない…お祭りだから。フラフラになるまで飲んだあと、家に帰ったのは午前3時。朝になってもアルコールが抜けていないのがわかる…。

そして…山道を行進中も、ひっきりなしに回って来る蒸留酒。上手に馬を操るカッコいい美女たちに勧められて、断れるはずはないし。あの、胃袋形の皮水筒?に入った強い酒を飲みながらの乗馬…これは酔う。『キツい』とはこの事だったのか…。強烈な日差しの下で行われる馬上飲み会。電車宴会とは揺れ方がが違う…。毎年、意識を失って落馬する男がいるというのも…頷けます。

そしてラキラの中心部に到着。いつもの閑古鳥が鳴いているメインストリートは馬で大渋滞。多くの観光客に写真を撮られながらの行進は…気持ちいいなぁ!(胃袋は気持ち悪いけど…)

シャワー浴びて仮眠して、夜中にまた広場に集合だ。
5日間、ラキラ人にとことん付き合うつもりです。


06月09日(金)
お祭り中だというのに、平行して急に道路工事が始まったラキラ。
なんでも10月の『ラキラ誕生祭』までに広場と道をリニューアルするとか?
間に合うとは…とても思えないんすけど。

悟空とピッコロが闘ったあとみたいな状態になっている…。
渋い感じの砂利道だったところに、この巨大な石の山。
ここを石畳にするらしいんだけど、まったく大胆な仕事だよなぁ。

現場で石工たちが、ノミでサイズを合わせながらはめ込んでいる。
手でちまちまやってるから、何年かかるんだよ…とか呆れていたんだけど…
早い!仕事が早い!ちゃんと石畳の道が出来て来ている。

この厚みが凄いよなー。日本のぺらぺらレンガ風の道とはモノが違いすぎる。
歴史のない石畳だけど…逆に、この先何百年と変わる事はないのだろう。
そうゆう意味では、ラキラの歴史に立ち会った気分。えへへ。


06月07日(月)
たぬきうどんに欠かせない『天かす』だが、コレを作るのは意外と難しい。たっぷりの油で天婦羅を揚げていれば自然に出来てしまう副産物だが、わざわざ『天かす』の為だけに小麦粉を溶いて、油を温めてと頑張ると…いつも苦労が報われない。今回も大失敗…。ま、mejor que nada(ないよりマシ)だけどね。

最近、ユーミンの名曲『魔法のくすり』のリフレインがアタマから離れない。
うどんを食べながら、口ずさんでみる。

《男はいつも最初の、恋人になりたがり…》
      …つまり、処女をものにする事ばかり考えている、と。

《女はだれも最後の、愛人でいたいの…》
      …つまり、アタシと結婚してちょうだいな、と。

処女にこだわって相手を捜す時代じゃないのはわかっているけど、好きな女性の、過去の男の事を聞きたがる奴は多いだろう。オレは比較的?嫉妬が少ない方だとおもうが、それでも気になる時もあったな…。

今日の食事は、ねぎタップリの『月見+たぬきうどん』と、鮭御飯。
自分で言うのもなんだが…日本の食堂で食べるよりも美味しいかも?

最後のおたのしみ、卵の黄身を覗き込みながら…昔を思い出す。
20年ぐらい前に恋していたその女は、『月見うどん』が好きだった。
『たぬきうどん』派のオレには同じ値段を出して生卵はありえなかったが…

《taqueさん『月見うどん』には正しい食べ方があるんだよ。知ってる?》

と言われ、レクチャーを受ける事に。うどんと一緒に食べるのは白身だけ。黄身の表面にかぶさった膜もすべてきれいに食べて、最後に小量のダシ汁と黄身を残す。そして一気に流し込む。

それは生卵の味ではなかった。熱々のダシで化学変化を起こした黄身は別の味に変化し…なんと美味い!適当につぶして、ダシ汁を濁らせて食べていた過去が恨めしいほど…。その女に未練がある訳でもないし、過去を懐かしんでいる訳でもない。ただ『月見うどん』を食べるとき、この女の事をいつも思い出してしまう…。面倒な男関係が沢山あって悩まされたなぁ、とか(笑)

《最後の夜、話し疲れて、二人でおうどん、泣きながら食べた、今思うと笑うよね…》

ドリカムの名曲『なんて恋したんだろ』を聴くまでもなく、
うどんは過去の恋と相性がイイみたいです。


06月04日(金)
レタスだけのサラダが好きだ。
塩とオリーブオイルとレモンに、ミルで挽いたコショウを少々。
素材の味を楽しむ大人のサラダ。

このサラダを『ハネムーンサラダ』と呼ぶらしい。
『レタスだけ』(lettuce alone)と、
『私たちだけにして!』(let us alone!)を引っ掛けた英語のダジャレだ。
蜜月のスィートルームに押し掛ける友人とは…無粋なもの。

今日は近くの都会?チキンキラに行ってきたので、毎日オープンしている(羨ましい)市場で、レタスとトマトを買ってきた。大好きな『ハネムーンサラダ』を作って食べてみるが…ちょっと味が変だぞ?サニーレタスの味が微妙に冴えない。ちょっと固いし素材の味が全ての『ハネムーンサラダ』だけに、バランスが崩れるとダメだ…。

試しに買ったグリーントマトをサラダに入れてみよう。赤いトマトと一緒に。グリーントマトは火を通した方が美味しいと思っていたけど、こっちの人はサラダこそが最高だと言い張る…。ならば試すチャンスだ!日本から持ち込んだキューピーマヨネーズをかけてみる。美味しそうだぞ。

そうだ…とっておきのベーコンを炒めて入れてみるか?そこまでするなら、おつまみ用に買ったロンガニーサ(ワイルドなソーセージ)と、豚肉のフライ、プラタナ(調理用バナナ)に黄色いジャガイモも…。このサラダ、もはや新婚時代の面影なし。蜜月とは…はかなく短いものなのか?(…味は最高だったけど)


06月01日(火)
俳優で映画監督のデニス・ホッパーが死んだ。

『イージー・ライダー』のイメージが強いが、他にも個性的な役でハリウッド映画を盛り上げた重鎮だ。クリスチャン・スレーターの父親役をやった『トゥルー・ロマンス』もカッコ良かった!(ジャンキー役のブラピも最高だったけど…)個人的には、彼が監督をした『ホット・スポット』という映画で、当時21歳の超美少女ジェニファー・コネリーの服を全て脱がせた事こそが、最大の功績だと思っている。それだけのために映画館まで足を運んだのだが…きれいなカラダだったなぁ。

デニス・ホッパーの死と抱き合わせで書く話ではないのだが…昨日、JICAコロンビア事務所の安全クラークをしていたロドリゴが亡くなった。2週間ぐらい前に胃の手術をして、術後に様態が急変したらしい。まだ45歳だって…。治安の悪いコロンビアで、日本の政府関係者は一軒家に住んではいけない、という決まりの中…このラキラの家に特別オッケーを出してくれたロドリゴ。彼の柔軟さがなければ、オレは今も小さなホテルの部屋で暮らしている事だろう。初めて一緒にラキラへ行ったとき、道中に点在するボロボロの小屋を見るたびに『タク!ラキラの家はあんな感じだぞ〜』とゲラゲラ笑いながら話していたロドリゴ。コロンビア警察のエリートだった彼は、普段からビシッとスーツを着た怖そうな雰囲気なのに…あのラキラ珍道中では、ユルいロンTのメチャ普段着だったなぁ。完全に仕事を忘れて子供みたいにはしゃいでいたもんな…。

途上国に暮らしていると、人間の死をとても身近に思う時が多い。軽いんじゃない。けど、日本にいた時よりも、すぐ側にある感じがする…?今、こうやって生きている事は当たり前じゃないんだって事を、理解できる。だからシンプルに、楽しく生きていこうと思う。2人のご冥福をお祈りします。