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09月30日(木)
チクがコロンビア入りしてもうすぐ1ヶ月。…相変わらず何もしていない。そもそも、ラキラでは何もする事がないのだ。娯楽はゼロと言い切ってもいい!でも、何もしない贅沢を知ってしまったら…こんなに素敵な事はない。
ラキラからわずか30kmのビジャデレイバは、県内で一番の観光地。コロニアル建築と石畳が美しい町だ。そして美味しいレストランやホテルがある。せめてここぐらいは行かなきゃ…と言うことで出発。が、交通網が全く機能していないラキラ周辺で目的の場所に行くのは大変。ヒッチハイク、バス、そしてタクシーを乗り継いでの30km…。他の国はオッケーなのに、なぜか禁止されている自家用車…絶対必要だよなー。
知人から教えてもらった、最高に美味いというイタリアンは…あー、定休日!朝から何も食べずに気合いを入れていただけにガッカリ…。気を取り直して街を歩いていると、路地のレストランから出てきた熟年カップルが、すれ違い様にオレに囁やいてきた。『ここのアヒヤッコは…もう信じられないくらい美味しいわよ!』…マジ?
『アヒヤッコ』とは、黄色いジャガイモや多くの野菜やハーブ類、鶏肉などを煮込んだコロンビア風のシチュー。白い御飯とアボガドを添えてサーヴされる事が多い。どこで食べても美味しいけど…そう言われると食べたくなってきた!
アンティークな感じの店内に入ると、奥に中庭が見える。そこのテラス席に座って地元産のワイン『マルキス・デ・ビジャデレイバ』の2009年レゼルバを注文。ランチでフルボトルを飲む事は、オレの人生でも特に大切にしている事のひとつ。状況・相手・時間・体調・予算…多くの条件が揃わないと不可能だから。マッシュルームのガーリックソテーとパンを食べながら、メインの料理を待つ。木漏れ日と乾いた風が心地いい、最高の瞬間だ。
アヒヤッコは、期待以上の味で大満足!でも、それ以上に驚いたのは、レアで焼いてもらったステーキの美味さ!ビーフステーキだけでも部位ごとに数種類メニューに表記してあったから(コロンビアでは珍しい)ちょっと期待していたんだけど…これは衝撃だった。ワインとの相性も最高だし、厚くてデカイ!(400gぐらい?)
2人でこれだけ食べて飲んでも5,000円(100.000peso)でおつりが来た。安いし美味いし最高!またこの店にきたいけど、他にも魅力的なレストランもあるし…いいなー、ビジャデレイバ。素晴らしい1日だったな。…って、やっぱり全然観光とかしてないじゃん。怠け者め!
09月12日(日)
首都ボゴタにある日本人学校から講演依頼があった。
ボランティアとしての現在の活動や陶芸を始めたきっかけ、ラキラの街について話をして欲しいとの事だったが、どうせなら時間枠を増やし講演に加えてロクロの実演もして、生徒にも粘土に触れてもらおうという話になり…重い電動ロクロや粘土をラキラから持ち込む事に。もちろんJICA事務所を通してきた話だったので、色々と協力してもらえるかと思ったのだが…機材の運搬のための車すら出してもらえないとの事…なんで?上京するだけでもひと苦労の田舎町なのに、この機材や粘土をバスや乗合タクシーを乗り継いで1人で持ち込むのは絶対無理な話。オレはラキラの職人や友人に頼み込んで荷物を運ぶトラックや車を手配してもらい、なんとか往復の運搬を成功させたが…これって、オレが今までラキラで積み重ねてきた信頼の貯金を使っているんだよね…。タダじゃないってことをわかって欲しい。
思い返せばエジプトにいた頃の調整員、古川さんは凄い人だったな。こんなときは業務外だとか公務だとか関係なく、隊員の為に何がベストかを判断して実行出来る人だった。彼だったら所長に直談判して、速やかに車の手配をしてくれただろう。仕事の出来る人間とはそうゆうものだ。
ま、苦労した甲斐あって、日本人学校での講演と実習は大好評でした。
現地の人と結婚してコロンビアで暮らしている日本人の子供(ハーフ)も多いので、オレの過ごしてきた陶工としての半生がどれだけ意味を持って伝わるのか半信半疑だったけど…子供たちの目は真剣そのものだったし、初めてロクロを触る彼らは本当に楽しそうだった。
オレも30年以上前にシドニー日本人学校に通っていた。
あの頃の日々こそが、現在のオレの生き方の根源になっているのは疑いようのない事実だし、日本人としてのアイデンティティという漠然とした葛藤が生まれた場所でもあった。だから、海外の日本人学校に通う彼らには特別が思い入れがある。人生の先輩として、模範となる生き方が出来ているなんて、これっぽっちも思っていないけど、こんな人間もいるんだなぁ…という参考にでもなれば嬉しいかな。そして…日本の職人はすげぇ技術を持っているって事も!
09月09日(木)
チクがコロンビアにやってくる!
が…経由地のヒューストンでハリケーンがあり、フライトの予定が立たないというメールがコンチネンタル航空からくる。オレたちは今まで、ロンドン、アムステルダム、ジャカルタに成田…世界中の空港で会う約束をして、スムーズに時間通りに会えた事がほとんどない。多くのトラブルとすれ違いを経験してきたので、今回もまたか…と嫌な予感が。
しかし、予想に反して2時間遅れで無事ボゴタに到着。約1年ぶりの再会だったが、そんなギャップも感じさせない、いつもの距離感。これがオレたちのリズムなんだろうな…。チクのコロンビア滞在は2ヶ月の予定。
翌日、ボゴタに住んでいる作業療法士、ジュンジの職場に呼ばれて行ってきた。目的はラジオ体操のビデオ制作。オレの仕事は言うまでもなく体操のお兄さん。誰でも知っているラジオ体操だが、各パートを正確に動かしている人は少ない。細かいルールがあるし、キチンとやるとかなり疲れる。ま、オレは駒ヶ根の訓練所でも壇上で模範演技?をしていた達人だから大丈夫。運動神経抜群の相棒・チクを連れて、いざ撮影ユニフォームもバッチリ!
イメージの通り、コロンビア人はダンスがが大好きだ。どこかで音楽が流れ出せば、小さい子もお婆ちゃんも…みんな踊り出さずにはいられない。シャキーラの例を出すまでもなく、その妖艶な腰の動きは異性を誘う媚薬であり、自分を解放して気持ちよく酔える麻薬のようなものだ。素晴らしい!
『日本人が日常的に踊るダンスは何?』と聞かれても全く思いつかないけど…オレたちにはラジオ体操がある。日本の誇る健康維持装置だ。ラジオ体操ごときで筋肉痛にならないよう身体はいつも動かしておきましょう!
09月05日(日)
DJサトシトミイエの現地マネジャーとしてツアーに同行しています。運転手やプロモーターとの連絡、ホテルや飛行機のコンファーム…慣れない仕事だけどけっこう楽しいな!メデジンが急遽キャンセルになったので、ボゴタとカリの2カ所でパーティ。どちらも最高の盛り上がりをみせた素晴らしい夜でした。
ボゴタは屋内のクラブ、暖かいカリはプールサイドの屋外イベント会場。同じ国とは思えないくらい対照的だけど、共通しているのは美女が多い事!電子音楽が好きなお金持ちは、みんな英語も流暢に話すし…田舎町ラキラとは全てが違っているなぁ!
日本でもひんしゅくを買いそうだけど…オレはDJブースで両日8時間も踊り狂ってました!いやぁ、気持ちよかった!良い音楽はイイ。そしてサトシのパーティはどれだけ踊っても疲れない。しかし…このタフな生活を20年も続けている彼を尊敬せずにはいられません。
明日はボゴタ。NYの自宅に戻るサトシとはしばらくのお別れ。
本当に楽しかったまたどこかの国で一緒に遊びましょう!
09月01日(水)
京都の陶工は、仕事に使う道具を自分で作る人が多い。
18歳で京都の陶工職業訓練校の門を叩いたオレも、土揉みやロクロの特訓以外に道具作りの方法を習った。その時、全員に配られた『道具を作る為の道具』の中で、一番大切だったのが『切出し小刀』である。
『切出し小刀』を知らない日本人がいるとは信じたくないが…念のために説明すると、木で出来たサヤに収まった小さな和風の刀である。おつうが柳生からもらったのは『懐刀』で、『切出し小刀』は更に小さい。木工や竹細工に使う実用的な刀だけど、最近はカスタムナイフよろしくコレクション用の過剰な装飾をしているものも多く、ちょっとイタダケナイ話だ。
『切出し小刀』の凄いところは、切れ味抜群で繊細な仕事ができるくせに、ナタみたいに豪快な使い方が出来る点だ。分厚い竹に刃を当てて『切出し小刀』の背の部分を木槌でぶっ叩いてサクサクと割っていくのは快感。どんなにゴツいカッターでもサバイバルナイフでも、こんな気持ちのいい使い方は出来ない。オレの使っている『切出し小刀』は3000円くらいで買った安物だが、20年以上、刃を欠かす事もなく使ってきた相棒。使い慣れているから、今さら刃の向きが反対になっている『左利用』を改めて買う気はない。
生徒に道具作りの指導をしている時、『切出し小刀』の使い方を教えてから自由に貸したのだが、たった1回の授業で大きな刃こぼれが3カ所も…。オレが丁寧に使う20年よりも、彼らの1時間の方がダメージが大きいなんて…『切出し小刀』に関わらずなんだけどね。大切な道具は貸しちゃダメかな。
家で時間をかけて『切出し小刀』を研ぐ。気分は本阿弥光悦?なんて。あれだけ刃が欠けていても、ちゃんと元通りになるんだから…日本人は凄い!最近、仕方なく作った耳かきも、この『切出し小刀』だけで削り出した。陶芸で使う竹刀も、いつでも切れ味抜群!誰かに貸さなければね…。いい道具で、いい作品をどんどん作っていこう!
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