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02月27日(月)
コロンビアで腹回りに蓄えてきた中性脂肪を落とすためにも、何か効率のいい運動をしたいと思うが…こうも寒いと外に出るのも億劫だ。再赴任の可能性もあるからスポーツクラブには入れないし、ただ走るのもあまり好きじゃない。やっぱり自転車かな…?
今から32年前…オレが中学生だった頃、ヤクルト配達のアルバイトをして貯めたお金で買ったユーラシア・ファーストライディングは、当時はまだ珍しかった700×28Cのタイヤと細いクロモリフレームが美しいロードバイクだった。職人時代に京都で住んだ寺や小さな貸間でも必ず部屋の中に保管した大切な宝物だったが…エジプトで過ごした2年半の間、無慈悲な両親の手によって屋外に放置されてしまい…帰国した時は修復も不可能な鉄屑になってしまっていた。死別した伴侶にこだわっている訳じゃないんだけど、その後ロードバイクを買えないまま現在に至っている。今の自転車ブームはなんとなく同調できないし…今さら70年代のパーツで組む事にも抵抗があるしなぁ。
そんな時、琴線に触れた自転車にインターネットで出会った。カナダの自転車メーカー《KONA》が出しているSUTRAというモデルだ。MTBのようなゴツいフレームにディスクブレーキと現代的なのだが、なんとも個性がある。前後キャリアも標準装備してあり旅心をくすぐる。現代版のランドナーといった感じか?
色々と調べていると、毎年のモデルチェンジごとにパーツのレベルが落ちている事に気がついた。最新の2012年モデルはシマノsoraを多用して、なんとも安っぽい雰囲気。それをカバーするかのごとし、茶色の皮巻バーテープやモスグリーンのフレームを採用した中途半端な高級感が…どうも気に入らない。前後キャリア付なのにフェンダーがついていなかった2009年以前のモデルが欲しいが…いかんせんマイナーな自転車だ。ヤフオクにも全く出てこない。気長に待つしかないかな…と思ったら新古品の2008年モデルを発見。しかも、いちばん欲しかった水色フレームの年だ!外国の自転車はコストを押さえるために、1モデル1色の物が多いから。
ただし発送はしてくれないとの事で…仕方なく愛知県まで取りにいってきた。実車は想像以上のコンディションで、傷ひとつない新品。ただ想像していたよりも重いし、フレームも大きい。ツーリングバイクなのにステムが110mmなのも原因か?ダサいペダルやスタンド、無駄なパーツも取り払って少しサイズ調整しなきゃならないけど…10年ぶりに所有するドロップハンドルの自転車に胸が踊る!
帰りは焼津に宿を取り、マグロを食べに市場へ。

回転寿司なのに目の前でマグロを捌いている。見るからに美味しそうな部位に思わずため息が出ると…職人さんから声がかかる。
『これはミナミマグロのカマトロです。蛇腹の大トロより希少で高級ですが…ウチは回転寿司なんでいつもの値段でお出しますよ。いかがですか?』
そりゃ頂きますよ。マグロを食べにきたんだから!その場で握ってくれた職人さんが、握りの上に同じカマトロの切身をこっそり数枚乗せてくれる。口の中でとろける刺身を堪能したあと最後の1枚をシャリと一緒に口に放り込む。なんて幸せな瞬間!
地元の名産である生サクラエビの軍艦巻きやノドグロなども美味しく頂きました。焼津の寿司はウワサ通り凄い!チャンスがあればまた来たいなぁ。
02月24日(金)
顔を見合わすだけで自然と笑いがこみ上げてくるような友人がいる。2年半ぶりに横浜の野毛で再会した中西さんに馬肉(桜)と鹿肉(紅葉)の鍋…つまり《馬鹿鍋》を御馳走になった。本物の男は自分を飾ろうとはしない。何歳になってもバカバカしい話ができる人って…やっぱりカッコいい!
2人で馬刺をつつきながらビールや樽酒を飲む。途中から合流したユンソンも一緒に、今度は冷酒をゴクゴク。すっかり御機嫌になって店を出ると、今度はギョウザ専門店へ。紹興酒をボトルで頼んだかと思うとあっという間に空っぽ!タクシーで関内へ向かいオーセンティックなBARでマティーニを2杯…3杯…あとは良く覚えていません。また飲みましょうね中西さん!
02月14日(火)
駒沢は、仲のいい友人が住んでいるという理由で何十回と訪ねた場所である。終電がなくなると世話になった高島夫妻。代わりに彼らも週末はオレの家に泊まりに来るようになり、この街の魅力に負け?とうとう1年前に茅ヶ崎へ引っ越してきた。通勤は大変だが、子育てや家賃の安さなどメリットも多いだろう。もう1人の友人・木村コウさんも横浜への引越しが決まり、これで駒沢に来る機会もうんと減ってしまうだろう。《天下一品》駒沢店は確かに美味しいが、それだけの理由この街を訪ねるほど暇じゃない。
コウさんの引越しに人手が欲しいとの事なので、手伝いに行ってきた。プロのDJ歴が25年を超えるだけあってそのレコードの数は膨大だし、60年以上前のハーレーダビッドソンを所有し(バイク仲間でもある長瀬智也くんがユニクロのCMで乗っていたバイクはコウさんの私物)整備も自分でするので工具やパーツ類も大量にある。皮小物の制作道具やアニメグッズなど…趣味人の引越しは大変だ。
とにかく運べるものから新居に持ち込もう、ということになり、集まった人がそれぞれの車に満載した荷物と共に横浜へ。新しい家の持ち主は古くからの友人で、カギを持って合流する約束なのだ。新居の高層マンションは鶴見駅の目の前、徒歩0分ってやつだ。駒沢に泊まる家はなくなっちゃったけど、ここも便利だしまた世話になるんだからしっかり働かないとね!…ところが、待てど暮らせど家主が来ない。車でこっちに向かっている、と連絡が入ってから3時間以上経っている…。とにかく荷物を降ろして、また駒沢の家に戻り荷造りの続きをしないと。翌日には契約が切れるから全てを運び出さないとならない。大量の荷物はまだ家に残ったままだ。
オレは別の用事で数時間抜けたあと、夜中の12時頃に泊まらせてもらう予定の駒沢に戻ると…ただならぬ雰囲気に。なんと家主が交通事故に遇ったとのこと。それも、事故現場に落ちていた携帯を使って事故の当事者の関係者?がメールを送ってきたらしい。『この電話の持ち主は救急車で運ばれました。この携帯電話も今から警察に預けるので連絡はとれなくなります』と!
その後も家主から連絡は来ない。いくら病院に運ばれたって連絡方法はあるだろう。カギを渡さないと迷惑がかかる事は本人が一番よく知っているはず…ならば意識不明の重体なのか?運んだ荷物を外で番している友人もいるし、荷物満載のバンで待機している人もいる。すべて今日中に運び出すつもりで動いているのだから。警察や消防署に連絡しても入院先の病院名は教えてもらえないらしい。個人情報保護法?のおかげで家族以外の人間はどうにもならないのだ。とにかく…このままじゃどうにもならない。どちらの家にも搬入できないこの恐ろしいほどの荷物を何処に持っていけばいいのか?明日が仕事の人は家に帰っていき、残された数人が寒空の下に立ちすくむ。
『とりあえず、オレが借りている屋根付きガレージに運びましょう』ケンゾウ君が沈黙を破る。ケンゾウ君はエンジンがむき出しの古いフォードに乗っている。クラシックカーなんて生ぬるい車じゃない…もう博物館にあるようなヤツ。車はどこかの地下パーキングにでも停めておけるし、こんな夜中じゃ他に方法はない。そして家主の命にもしもの事があったら…新しい家を探さなきゃならないかもしれない。なにも解決しないまま、みんなで荷物をガレージに運ぶ。夜中の3時をまわっているが…部屋の中はまだまだグチャグチャである。明日中にここを出られるのか…どうする?バレンタインデーの東京に、薄汚れて疲れ切った男たちの影が濡れた路面に映る。
02月08日(水)
今晩『北野演芸館2』という番組に《が〜まるちょば》が出演する。赤モヒカンのケッチ!は親しい友人だし、プロデューサーの熊手さんはラグビー部の先輩、しかも同じポジションで教育実習のクラス担任でもあったから…なんだか他人の気がしないほど親しみを感じている。「たけしが今もっともも観たい芸人スペシャル」という企画なので、滅多にテレビを見ないオレも夜を楽しみにしていた。そのケッチ!から連絡が入る。鎌倉に来てるからお茶でもしようとの事。1年前の一時帰国の時に会って以来だ。穏やかな笑顔と全身からみなぎる笑いのエッセンスを思いだすと…自然に顔がにやけてしまう。どんなに有名になっても昔と全く変わらない、そんな男なのだ。
鎌倉市農協連即売所(通称レンバイ)の奥にひっそりと佇むカフェ&ベーカリー《PARADISE
ALLEY》で待ちあわせ。ケッチ!とあーやんが白い息を吐きながら店に入ってくる。ハグをして、近況報告などしながらのんびりと時間は過ぎていく。
1968年製のビートルを神戸の松本さんから譲り受けて2年後にコロンビア行きが決まった。2年間の放置に耐えられる車ではないので、やむなく次の所有車を探していたところにケッチ!からの申し出があり、引き継いでもらった。今日はそのビートルで鎌倉に来ていると言う。駐車場に停めてある懐かしの元愛車は昔と変わらず…いや、さらに美しく磨かれてそこにいた。久々にハンドルを握らせてもらい、夕暮れの134号線をのんびりと走る。毎日、この車で通勤していた日々をぼんやり考えていると江ノ島に到着。ケッチ!に運転を交代して駐車場に停め《cafeマル》で一服する事に。

『あっれー?カギどこに入れたっけ?』なんて声が聞こえたあと、小さなため息が…。見ると車のイグニッションにしっかりとカギが刺さっている。あ…カギの閉じ込め?そりゃヤバいぞ…。眩しい太陽はとっくに沈んでしまい、放射冷却の寒波?が容赦なく吹き付けてくる。途中から雨まじりになってきて…さぁどうするよケッチ?
パーキングの管理人から延べ鉄を借りて窓枠からの解錠を試みるが…どうも国産車の仕組みと違うらしく、手がかりが全くない。渋滞の134号線にJAFを呼ぶには相当な時間がかかると思うし、保険会社に電話するにも証書はすべて車の中だ。保険会社もどこだか忘れてしまったという…むむむ、どうする?ビートルのエンジンは後ろについているので、ボンネットはちょっとした荷物置きになっている。ふとレバーに手をかけるとボンネットが開いた。剥き出しのメーター裏あたりを見ていると、ラジオのスピーカーがあった場所から光が漏れている。もしや?と思いドライバーを差し込むと…動くぞ!上手にこじ開ければ、最小のダメージでこの枠をはずし、手を差し込んでカギを抜く事ができるかもしれない…!
『ヒャッホウ!』
ケッチ!の叫び声が夜空に響く!3人でハイタッチしてハグをして車に乗り込む。現代の車じゃ体験できないのは、その運転フィーリングだけじゃない。知恵をしぼってトラブルを回避したときの達成感はなんとも素晴らしい。ちゃんと日本に腰を据える日が来たら…また古い車を買おう。ちゃんと愛せる機械との暮らしがオレには似合っている。ケッチ!に家まで送ってもらい、吉祥寺日本酒宴会の約束をして別れた。時計を見ると9時ちょうど…テレビに間に合った!
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